品質管理
クレーム化しやすい- 無垢は一枚ごとに表情が異なり、季節で伸縮。
- 量産の「常に同じ」基準とズレ、冬の隙間が不良扱いに。
「無垢フローリングをお願いしたら、すぐに複合フローリングを勧められた」という声をよく耳にします。
実はこれには、ハウスメーカー側の構造的な事情が深く関わっています。
決して悪意があるわけではありません。むしろ、大手ハウスメーカーのビジネスモデルと自然素材の特性が、相性があまり良くないという構造的な問題なのです。
その理由を詳しく見ていきましょう。
大手ハウスメーカーの品質管理システムは、工業製品のような均一性を前提に作られています。
同じ品質、同じ仕上がり、同じ性能を大量に提供することで、効率的な住宅供給を実現してきました。
しかし、自然素材である無垢材は一つとして同じものがありません。木目も違えば、色合いも微妙に異なります。
さらに、季節によって最大1%程度の寸法変化を起こすという特性があります。
特に日本の激しい季節変動の中では、冬の暖房使用時に板材間に数ミリの隙間ができることも珍しくありません。
これは木材の持つ調湿機能による自然な現象ですが、施主の中にはこれを「欠陥」と捉える方もいらっしゃいます。
つまり、自然素材の持つ「生きた素材としての特性」が、皮肉にも品質管理上のリスクとして認識されているのです。
住宅品質確保法により、新築住宅には10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
この法律は消費者保護の観点から重要な制度ですが、自然素材を扱う上では複雑な問題を生み出しています。
大手ハウスメーカーは、複合フローリングを標準仕様として保証体系を構築しています。
一方、無垢材などの自然素材は「標準仕様外」として扱われることが多く、木材の自然な経年変化を「瑕疵」として訴訟されるリスクが生じてしまうのです。
実際の判例では、木材の正常な収縮や色調変化に対しても、事前説明が不十分だったとして施工業者の責任が認められたケースがあります。
また、保険会社も自然素材に対する補償を制限したり、割増料金を設定したりする傾向があり、企業側にとってはコスト面でも大きな負担となっています。
このような法的リスクを避けるため、多くのハウスメーカーは自然素材の使用に消極的にならざるを得ないという実情があるのです。
大手ハウスメーカーの強みは、効率的な大量仕入れによるコストダウンです。規格化された建材を大量に仕入れることで、品質の安定と価格競争力を実現しています。
しかし、自然素材の調達はこのシステムとは相容れません。無垢材は同じ樹種でも一枚一枚が異なる表情を持ち、ロットによる色調のばらつきも避けられません。そのため、施主の承認を得るための追加工程が必要となり、標準化された工程管理が機能しなくなってしまいます。
さらに、無垢材の施工には特別な配慮が必要です。施工前の1〜2週間、現場環境で材料を馴染ませる期間が不可欠ですが、これは効率を重視する工程管理とは相反します。また、適切な隙間の設定や木目方向を考慮した配置など、複合フローリングとは全く異なる施工技術が求められます。
多くの施工業者は複合材の施工訓練しか受けておらず、自然素材に対応できる職人の確保も課題となっています。このような調達から施工まで一連の非効率性が、ハウスメーカーが自然素材を敬遠する大きな要因となっているのです。
日本の住宅で人気の高い床暖房システムと無垢材の相性は、残念ながらあまり良くありません。標準的な床暖房は70℃程度の熱源を使用しますが、この高温により無垢材は急速に水分を失い、反りや割れが生じやすくなります。
床暖房メーカーも無垢材使用時の保証を免責していることが多く、実質的に両立が困難な状況にあります。床暖房対応の特殊な無垢材も開発されていますが、価格が通常の2〜3倍と高額で、選択肢も限られているのが現状です。
また、マンションで要求される遮音等級(LL-45、LL-40)への適合も課題です。無垢材単体ではこれらの基準を満たせないため、追加の防音下地工事が必要となり、総工事費が大幅に上昇してしまいます。
このような現代住宅に求められる性能と自然素材の特性のギャップが、ハウスメーカーを悩ませているのです。
自然素材の床材は、施工後も長期にわたる継続的なケアが必要です。季節ごとの伸縮への対応、定期的な再塗装、部分補修など、複合フローリングでは不要な作業が発生します。
大手ハウスメーカーのアフターサービス体制は、基本的にメンテナンスフリーを前提とした標準仕様向けに構築されています。20〜30年にわたる自然素材特有のメンテナンスに対応するには、専門知識を持った人材の育成や、施主への継続的な教育体制が必要となります。
適切な湿度管理の方法、日常の清掃方法、メンテナンススケジュールの説明など、施主への情報提供にも相当な時間と労力が必要です。さらに、経年変化による色調の深まりや小さな傷を「味わい」として受け入れてもらうための価値観の共有も欠かせません。
しかし、日本の消費者の多くは新品同様の状態維持を期待する傾向が強く、このような期待値のギャップがクレームにつながりやすいという課題もあります。組織として、このような長期的かつ個別対応が必要なサービスを提供する準備が整っていないことが、自然素材を敬遠する一因となっているのです。
無垢床は「ばらつき+手間」を前提に楽しむ素材。
量産・標準化・画一保証モデルとは噛み合いにくく、
企業側のリスク/コストが大きいため断られやすい。
ハウスメーカーが自然素材に消極的な理由は理解できたとしても、やはり無垢材の温もりある床で暮らしたいという想いは変わらないはずです。実は、適切なパートナーを選べば、自然素材の床材は十分実現可能です。
ここからは、自然素材床材を実現するための具体的な選択肢をご紹介します。大切なのは、自然素材の特性を理解し、適切に扱える建築会社を選ぶことです。
自然素材専門の工務店は、無垢材などの自然素材を日常的に扱っているため、その特性を熟知しています。木材の収縮や反りへの対処法、適切な施工方法、長期的なメンテナンス方法まで、豊富な経験に基づいたノウハウを持っています。
専門工務店に共通するのは、自然素材の特性を「欠点」ではなく「特長」として捉え、それを活かす技術と経験を持っていることです。施主に対しても、自然素材の魅力と付き合い方を丁寧に説明し、理解を得た上で施工を進めます。
さらに重要なのは、施工後の長期的なメンテナンス体制が確立されていることです。定期的な点検や、必要に応じた補修、再塗装のタイミングなど、建物の一生を通じてサポートする体制が整っています。
コスト面でも、大手ハウスメーカーのような広告費や営業経費が少ない分、同等品質の自然素材を15〜20%程度低い価格で提供できるケースが多いのも魅力です。
地域密着型の工務店には、大手にはない独自の強みがあります。まず、その土地の気候特性を熟知していることです。湿度が高い地域、寒暖差が激しい地域など、それぞれの環境に最適な自然素材の選定と施工方法を提案できます。
60分圏内の工務店を選ぶことで、緊急時の対応や定期的なメンテナンスも迅速に行えます。「床に不具合が出た」「メンテナンスの相談がしたい」といった時に、すぐに駆けつけてもらえる安心感は、長く住み続ける上で重要な要素です。
10年以上地域で実績のある工務店は、地元の木材供給業者との強固な関係を構築しています。そのため、良質な自然素材を適正価格で調達できることが多く、コストパフォーマンスの高い家づくりが可能です。
地域工務店の最大の強みは、施主との長期的な関係構築にあります。大手と異なり、担当者の異動がないため、建築時から数十年後まで同じ担当者がサポートしてくれることも珍しくありません。建物の履歴を熟知した担当者による適切なアドバイスは、自然素材の住まいを長く快適に保つ上で心強い存在となります。
設計事務所と連携している工務店を選ぶという方法もあります。建築家の創造性と工務店の技術力を組み合わせることで、デザイン性と機能性を両立した自然素材の住まいが実現できます。横浜のあすなろ建築工房のように、設計機能と施工能力を併せ持つ企業では、設計段階から自然素材の特性を考慮した計画が可能となり、施工時のトラブルを大幅に削減できます。
自然素材床材を実現するためには、これらの専門性の高い建築会社をパートナーとして選ぶことが成功への近道です。初めは大手ハウスメーカーの知名度や安心感に魅力を感じるかもしれませんが、自然素材にこだわるなら、それを得意とする会社を選ぶことが、結果的に満足度の高い家づくりにつながります。
ハウスメーカーに自然素材の床材を断られても、決して諦める必要はありません。確かにハウスメーカーには構造的な制約がありますが、それは彼らのビジネスモデルと自然素材の特性が合わないだけのことです。
自然素材専門の工務店や地域密着型の工務店など、無垢材の扱いに長けた建築会社は必ず存在します。大切なのは、自然素材の特性を理解し、それを「欠点」ではなく「魅力」として捉えてくれるパートナーを見つけることです。
初期費用は複合フローリングより高くなりますが、50年以上使える耐久性、経年変化による味わいの深まり、調湿機能による快適な室内環境など、長期的な価値を考えれば決して高い投資ではありません。
自然素材の床材で暮らす喜びは、実際に体験した人にしか分からない特別なものです。木の温もり、素足で歩く心地よさ、時とともに深まる色艶。これらは工業製品では決して得られない、自然素材ならではの価値です。
まずは、お住まいの地域で自然素材を得意とする工務店を探してみてください。実際に施工事例を見学したり、無垢材のサンプルに触れたりすることで、きっと理想の住まいへの道筋が見えてくるはずです。諦めずに、納得のいく家づくりを実現してください。
クレアホーム
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